「0円」の呪文

番号ポータビリティの始まりに合わせて、ソフトバンク・モバイルは「0円」というところを強調しながら、いくつかの記者発表を行い、うまくメディアを利用して顧客獲得作戦を実行している。
でも、これはユーザーにとって、本当にお得なサービスなのか・・・。
まず最初に出してきたのが「予想外割」。
2007年1月15日までに新規申込をすると、ソフトバンク携帯電話宛の通話もメールも0円だと発表した。しかし、これには加入の条件があり、また、利用の制限もあることが後から判明した。
また、その記者発表の数日後、今度はヨドバシカメラの店頭で、端末の「店頭料金」を「0円」と発表した。これもまた、ちょっとしたトリックが隠されている。
シミュレーションしてみよう。
と言っても、かなり複雑なことになっているので、正しいかどうか、わからないが・・・。
仮に、僕がこの「0円」に惑わされてソフトバンク・モバイルの905SHを購入したとする。
まず、店頭価格は0円なので、店頭で支払う金額は0円ということになる。ただし、これは「新スーパーボーナス」に加入する必要があるわけ。これは携帯電話端末を24回の割賦で支払うということ。割賦で支払うと言っても、これは毎月の基本料金に含まれているという考え方なのだが、2年間(厳密には契約月から26ヶ月だが、契約当初の2ヵ月間は基本料金が無料になっていたりして、結構、ややこしい)、ソフトバンクモバイルのユーザーとして基本料金を払って初めて完済するというわけ。
とにかく、携帯電話を買いに行った店頭で支払うお金が0円なので、安いような気分に浸ることはできる。これが端末の頭金0円。
さらに通話料も無料にするためには、「ゴールドプラン」に申し込む必要がある。これは、本当は?税込みで月額9,600.15円の料金プラン・・・らしい(汗
ソフトバンクの携帯宛電話は21:00-24:00の時間帯を除けば、いつ、いくらかけても無料。21:00-24:00の時間帯は月に200分以内は無料。そして、ソフトバンク携帯宛のSMSメールは無料。逆に言うと、他の携帯電話会社宛の通話、インターネットを経由したメール、WEBの閲覧などは、別料金。
さて、このゴールドプラン、2007年1月15日までに申し込めば、70%割引、つまり月額2,880円にしてくれるという。新規で登録しても継続利用11年めのユーザー扱いしてくれる特典。というわけで、これも申し込むとする。Webを使うには月額315円のS!ベーシックパックを申し込む必要があるが、計算が煩雑になるので、ここでは省略。気になる方は、以下の月額料金に315円を加えて計算して欲しい。通信料は割引や2ヵ月無料の対象ではないので、初月から、バッチリ請求されると思う。
以上の手続きで905SHを自宅に持ち帰ることができたわけだが、毎月の支払いはどうなるのか。
1月15日までに申し込んだ場合の特典として、加入月とその翌月は基本料金は無料になる。
そこで、初月請求は契約事務手数料2,835円を支払うことになる。
「新スーパーボーナス」では、905SHを購入した人は、毎月、2,280円の割引を受けられ、この割引は事務手数料も対象としているのだが、「新スーパーボーナス」割引は3ヵ月めから適用されることになっている。つまり、事務手数料の支払いが先に発生するので、これを割り引いてもらうことはできない。
また、今回は2007年1月15日までに申し込むと特典があるゴールドプランという設定なので、毎月、2,280円の割引以上の特別な割引ということになっているようだ。本来9600.15円なのだから、6,720円以上も割り引いているわけだ。
2月めは、2ヵ月間は基本料金無料なので無料。
3月めから26月めまでの24回は毎月2,880円を支払い続ける。
27ヶ月めからは、ゴールドプランの適用外になるので、他の料金プランに以降する必要がある。
さて、そうすると事務手数料を除いて、端末を購入してから27ヶ月間にソフトバンクに支払う基本料金の総額は69,120円である。
もちろん、実際に使ったら、他の携帯電話会社に電話して通話料が加算されたり、Webの料金も加算されたりで、これ以上の金額になると思うが、条件や制限の中で利用すれば、この金額。
果たして、これは安いのか。
僕個人としては、ビミョーな気持ち。
僕が使うとしたら、やはり固定電話やドコモの携帯に電話しないわけにはいかないし、メールだって、WEBだって、結構、バリバリ使うので、実際の料金はもっといくと思う。そう考えると、場合によっては、他の料金プランのほうが、自分の携帯電話の利用状況には合っているかも知れないし、とにかく、もっとたくさんの料金を毎月支払うことになりそうだと思う。
ちなみに、契約して1年経って解約しようとすると、どうなるのか。
僕は自分の過去を振り返ってみると、1年くらいで新機種に買い換えたりしているような気がする。
契約して1年経ったときというのは、端末の割賦の支払いが始まって10ヵ月が経過したということなので、残り14ヶ月分の端末代金を支払う必要がある。「新スーパーボーナス」では割引金額と説明されている2,280円が、実は月あたりに支払うことになる金額でもあるのだ。つまり、契約して1年(基本料金を10ヵ月間支払ったとき)解約する場合には、14ヶ月分相当額の31,920円が「販売価格の残金」として請求されることになる。
以上のシミュレーションの計算は、ソフトバンクの複数のWEBに書いてあることから抽出して算出したので、情報の見落としや誤解がある場合、このとおりの計算ではない可能性もあるので、これを鵜呑みにしないでいただきたい。
でも、なぜ、敢えて僕はここで計算してみたのか。その理由は・・・
ソフトバンクが「0円、0円、0円」と連呼していることに、僕はいつのまにか不信感をいだくようになった。
本当に0円なのか。
あの広告を見て、「0円ならソフトバンクに変えよう!」と決心してしまう人もいるのではないだろうか。慌てて売り場やソフトバンクモバイルのショップ店頭に行って、申し込んでしまうのではないだろうか。
人は自分の主張に一貫性を持たせたいと思うものなのだ。
店員に「申し込みます」と言ってしまってから、いろいろな条件や制限、実際に支払う金額と解約時のコストを説明されて、若干、動揺したとしても、いまさらやめたとは言い出しにくいものだ。
「0円、0円、0円」は、あなたに行動を起こさせるための呪文。
もちろん、僕はあなたがソフトバンクの携帯を持つことに反対したりなんてしない。
ただ、申し込む決意をする前に、店員によ~く説明をしてもらって納得してから決断して欲しいと思う。
カタログやパンフレットを見るときは、小さな文字で書かれている条件や制限の部分を念入りに読むことをおススメする。
こういうところに、大きな落とし穴が掘られていることが多いものだ。

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