スターアニス (Star Anise)を探せ!

★スターアニス(Star Anise)は、和名を「トウシキミ」、中国では「八角茴香」、「大茴香」と呼ばれ、日本でも一般に「八角」と呼ばれている。中華料理の香辛料「五香粉」の材料で、独特の香りをもっている。

バンコクに住んでいたある日、大阪に住んでいる友だち(妹分)からメールが来た。
「ねぇ、お兄ちゃん、タイで八角を安く買えないのかな。
 仕事で必要なんだけど、日本では高くて・・・」
なんで彼女が八角を必要としているのか、最初、まったくわからなかった。僕の中では八角はスパイスの一種。花屋さんを家業としている彼女には、あまり関係ないと思ったから。まさか、中華料理屋に転職!?そんな話も聞いてないし・・・。さらに、シナモンスティックも必要だと言っている。なぜなんだろう。喫茶店もやっているのか!?
彼女が八角とシナモンスティックを必要としている理由はともかく、八角は中華で使うスパイス。タイにはたくさんの中華系タイ人が住んでいるし、いろいろな物資が中国から輸入されているのだから、八角もあるに違いない。しかし、一つ、重大な問題がある。八角をタイ語でなんというのかわからない。シナモンスティックも八角もバンコクで探すためには、タイ語でなんというかわからなければ発見できないだろう。
そこで、まず、インターネットで検索して、英名と写真が出ているサイトを探し出し、プリントアウトしてみた。調べてみると、間違ったものの写真を掲載しているサイトもあったが、正しいサイトを2つくらいずつプリントアウト。ちょうど、その頃、習っていたタイ語の先生は年配のタイ人だったので、この人たちにこの写真を見せてタイ語の名前を教えてもらった。

もしもあなたが花屋さんなら、もうすでにピンときているだろう。後で彼女にきいた話によると、八角やシナモンスティックはクリスマス・リースを作るときに使う材料なのだそうだ。そういえば、八角やシナモンスティック、クリスマス・リースについているような気がするが、そう言われるまで、スパイスがリースに使われているなんて考えていなかった。
さて、バンコクで食材を探すとしたら・・・。まず行ってみたのは、クロントーイ市場。午前2時頃から活況となるバンコクの台所と言った市場だが、ここで見つけたのは既に粉になっているスパイス。料理するときには、そのほうが使い易いだろうが、クリスマス・リースに使うためには原形でなければ意味がない。しかも、大量に買う必要があるわけだから、ふつうのスーパーマーケットで小分けにして売られているものを買うのも不経済だ。
こうなれば、やはり、あそこしかない。バンコクの中華街「ヤワラート」。中華街のどこにスパイスの店があるのか、知っているわけではないのだが、中華街にないはずがない。ある土曜日の昼間、タクシーでヤワラートに向かった。
タクシー・ドライバーに、中華街の中の市場に連れて行ってくれとタイ語で頼んだ。降ろされたのは、小さな路地の両側に、さまざまな食材屋が並ぶところだった。こんな怪しげな市場でいいのかなぁ。それ以前に中華街に来たときにも、この路地を歩いたことがあった。しかし、ここにスパイス屋なんてあるのか?
スパイス屋は意外に簡単に見つかった。最初、あまりにも雑然と物が売られていて何屋だかわからずに通り過ぎてしまったものの、大きなスパイス屋だったので見つけることができた。しかし、その路地にあるスパイス屋は、その店1軒だけで、あまり苦労せずに見つかったのは幸運だったような気がする。

店のマネージャーっぽいおばちゃんに海外への配送をしていないのか聞くと、日本には取引先があるからそこから買ったほうが良いと言われた。その取引先というのは、横浜中華街にある中華食材の輸入会社のようだった。しかし、日本の会社を通したら価格が高くなってしまうことは明らかだ。この店と直に取引しなければメリットが減ってしまう。この店としても、大口取引でない限り、輸出手続などの面倒なことはしたくないということなのだろう。
ちょうどその翌週、一時帰国を予定していた僕は、ハンドキャリーで少し持っていくことにした。
シナモンスティックと八角をそれぞれ2キロずつ。シナモンスティックはキロあたり45バーツ、八角は90バーツ、2キロずつで合計270バーツだった。全部で1000円もしない。日本で同じ量を買ったら何万円なんだろうなぁ。翌週、僕は八角の香りがするスーツケースを持って成田空港に降り立った。