もしもあなたの家の近くを白色人種の外国人が、大きな花束を持って歩いているのを目撃したら、あなたは家に帰って家族になんて言いますか?
「いま、ガイジンが大きな花束を持って歩いてたよ。」
日本語で「ガイジン」というと、ほとんどの場合、白色人種の外国人を指していますよね。それと同じような意味のタイ語がファランです。
ファランはもともとフランス人のことを指していたと言われています。しかし、今はアメリカ人、イギリス人、フランス人、ドイツ人…とにかく白色人種の外国人は皆ファランと呼ばれます。日本人にとっても、欧米人を一目見ただけでは、どこの国の人か判別できないですよね。だから、日本人は欧米人をガイジンと呼び、タイ人はファランと呼ぶんです。
一方、他のアジアの国の人を見ると、その顔は自国の人ではないと判別できることが多いですよね。もちろん、ときどき日本人なのにタイ人みたいな顔だとか、タイ人でも日本人みたいだとか、そういうことはあります。僕の友人の中にも、アジアを旅すると、あちこちの国で現地人と思われ、現地語で話しかけられるという特技を持っている人もいます。
でも、だいたいの場合、外国人であることは容易に感じとれるみたいだし、時には国も特定しているみたいです。以前、タイ人にアンケートをとったときに、服装や持ち物、歩くスピードなどで、韓国人と日本人を判別していることがわかりました。その判別法がどれほど正確なのかはわかりませんが、彼らはそうやって、だいたいの見当をつけているようです。
いずれにしても、タイ人は日本人や韓国人をファランとは呼びません。
ところで、日本のことがある程度わかってきたガイジンは、自分がガイジンと呼ばれることを嫌がることが多いです。これは、日本文化で、「うち」と「そと」という概念があって、ガイジンは外の人というニュアンスを含むと考えるからです。日本文化(日本社会)に受け入れられない、そんな印象がこの言葉にはあるんでしょうね。
でも、タイでは皆堂々とファランと呼んでいます。タクシーの窓には、”We LOVE Farang”のステッカーが貼られて、そのタクシー運転手は英語ができることをアピールして、外国人観光客を歓迎しています。とにかくファランは白色人種の外国人。タイにいるファランがそう呼ばれていることを気にしているかどうかは知りませんが、タイ人にとってファランはファランなんです。