せっかく英国に来たのだ。ハリー・ポッター誕生の地、エジンバラを見に行こうと思った。ハリー・ポッターの著者J.K.Rowlingは、エジンバラに住み、シングルマザーとして子育てをしながら、カフェでハリー・ポッターを書き上げたと言われている。主人公であるハリー・ポッターが毎年、夏休みを終えてホグワーツ魔法学校に向かうときには、ロンドンのキングスクロス駅から出るホグワーツ・エクスプレスに乗るわけだが、スコットランド行きのThe Flying Scotsmanもキングスクロス駅から出ているのだ。
(キングスクロス駅。9と4分の3番線はなかったようだが・・・。)
(各目的地行きの電車が何番ホームから出るかが表示されている。エジンバラ行きはQc・・・?Qは、Cue、つまり列Cという意味で、まだホームに電車が入っていないので、Cと書かれたところに並んで待つことを意味している。)
(キングスクロスはターミナル駅。改札口はないので、自分が乗る電車を見つけて乗る。改札口がないからと言っても切符は乗る前に購入すること。乗ってから買おうとするとペナルティが追加されてしまう。)
キングスクロス駅を出てからスコットランド、エジンバラまでは約4時間の電車の旅。しかも、この電車、遅れることがふつうのようで、行きも帰りも遅れた。車内アナウンスでは、遅れて申し訳ないと丁寧に言っていたが、乗客は慣れているようで、特に反応していなかった。このFlying Scotsmanの普通席は事前に切符を買うと指定席となる。しかし指定席と言っても車両全部が指定されているわけではなく、空いている席が自由席となり、当日、乗り込んでくる乗客は空いている席に座るという仕組み。車両の中の座席は、4人が二人ずつ対面して座る席と二人掛けの席があり、二人掛けの席は車両の中央を背にして両端の方向を向くように作られている。だから、座席の半分は電車の進行方向とは逆向きに座ることになる。
(エジンバラに向かう車窓からの景色・・・何もない!?)
僕は事前に切符を買って行ったわけだが、指定席であることは、必ずしも良いことではないと思った。行きは中国人親子と一緒に対面4人掛けの席に指定され、中国語と彼らがスーパーで買ってきた食材と同席することになったし、帰りはラブラブの若いカップ路と向き合うことになり、眼前でべたべたされたり、邪魔だなぁ~という目で見られたりした。結局、行きも帰りも、途中から空いた席に僕が移動したのだが、結局、電車は比較的空いていたのだから、もうちょっと座席の指定には頭を使うようにして欲しいと思った。
キングスクロス駅から4時間以上の電車の旅を終えると、Flying ScotsmanはエジンバラのWaverly駅に到着した。駅の中に自動車が通る車道があるような作りなので、最初、どこからどこが駅なのかわからなかったが、外に出るとエジンバラの景色が広がっていた。
エジンバラに来た理由は、街の雰囲気を体験したいことが第一の目的。観光としてはエジンバラ城さえ見れば、それで良いと思っていた。前日の天気予報では、天気が悪そうだったが、まだ雨は降っていなかったので、さっそくエジンバラ城に行くことにした。街の中には観光客向けの巡回観光バスも運行されていたが、僕は歩いてエジンバラ城に向かった。駅から15分くらいだろうか。エジンバラ城は、ダウンタウンを見渡す丘の上に立っているという感じだった。
日本のお城を見に言ってもそうだが、昔の人はここに住んでいたのかなぁ~、と考えるくらいで、武器や甲冑に興味がない僕は、早々に城をあとにした。エジンバラ城の入り口近くには、The Scotch Whisky Heritage Centreがあった。ここは入場料を払って入ると、スコッチウィスキーの歴史や作り方を知ることができて、いろいろなウィスキーを試飲することもできるスコッチウィスキーの博物館なのだが、空きっ腹でウロウロしていたし閉館時間も近かったので中に入ることはやめておいた。この博物館のお土産店は入場料なしで入ることができ、いろいろなブランドのスコッチウィスキーを買うことができるようだったが、試飲はできそうもなかった。
エジンバラはスコットランド。スコッチウィスキーの本場ということで、街中にも酒屋さんがあったが、例によって日本円に換算してみると、妙な話だが日本で買った方が安いのではないかという値段だったので、結局、スコッチウィスキーを買わなかった。
スコットランドと言えば、バグパイプとタータンチェックのスカートをはいた男の人を思い出したりする。このタータンチェックは家紋のように、家によっていろいろ種類があるようだが、僕には違いがよく分からなかった。街を歩いていると、この民族衣装を売っている店をよく見かけたが、観光客がこれを買って帰っても、着る機会はあまりないのではないだろうか。しかし、エジンバラでは実際にこのスカート(と呼んで良いんだろうか)をはいて正装した人たちを見かけた。女性はドレスで着飾っていたので、たぶん、誰かの結婚披露宴かパーティに出席するのだろうが、男性が真顔でこの服装をしているのを見て、あぁ~スコットランドにいるんだなぁ、という実感が沸いた。
エジンバラでも、晩ご飯はパブで食べた。僕がビール好きということもあるが、定食屋がない英国では、パブで出される料理を食べるというのも食事をする一つの方法だと思う。しかし、英国人は、夜のパブではそれほど食べ物を注文していないようだ。パブには食べ物のメニューもあるが、夜はパニーニくらいしか作れないところもあるし、晩ご飯は家でとるのか、ビールだけを飲んでいる人がほとんどだ。しかし、僕はホテルの部屋にもどっても食べ物はないし、ファーストフードで高いお金を払うくらいなら、パブでビールを飲みながら何か食べたい。ちなみに、昼間のパブはサラリーマンで一杯ということもあった。ランチを食べながらビールを一杯という人がとても多い。そういう姿を見ていると、英国人って幸せだなぁ、と思う。
エジンバラには1泊しかしなかった。泊まったのはHaymarketという駅の近くのB&B。Waverlyから徒歩圏内ということで、ここに宿をとったのだが、歩きで行くにはちょっとある距離。あいにくエジンバラの中心街からHaymarketに向かって歩き出した頃には、かなり雨が降り出し、しかも、スコットランドはすでに、かなり寒かった。Haymarketに向かって歩いているうちに疲労と寒さで頭がぼーっとなり、気づかないうちにみちなりに左折してしまった。でも、1ブロックほど歩いたところで、なんとなく嫌な予感がして、コピーされた見にくい地図を取り出して現在位置を確認しようとしていたら、60歳過ぎくらいの女性が近づいてきて『どうしました?』と声をかけてくれた。僕が『Haymarketに行きたいのですが・・・』というと、丁寧に道順を教えてくれた。寒い上に、道がわかりにくく、ちょっと凹んでいた僕の心が一瞬のうちに温かくなった。『どうもありがとうございます』と言って、教えていただいた道を行くと間もなくHaymarketに到着した。Haymarketは小さな駅で、あやうく通り過ぎてしまうほどだった。周囲には、若干、お店やレストランがあるが、繁華街という感じではないところ。ただ、駅の近くにインターネットカフェをやっているヘアサロンがあったりして、なかなか便利だった。
(Haymarket駅)
(左:Haymarketで泊まったB&Bがある通り 右:B&Bでの朝食。)
英国で本当のホテルに泊まろうとすると、とても高い。ビジネスホテル並のところに一人で泊まっても100ポンド以上するという。ビジネスホテルに1泊2万なんて、とんでもない話だが、どこかに泊まらないわけにはいかない。そんな人のためのプチホテルみたいな存在がB&B(Bed & Breakfast)だ。名称としては、ホテルと名乗っていることが多いが、ドアマン、ベルキャプテン、コンシャルジェなんているわけもなく、シャワーとトイレ付きの小さな部屋があるアパートのようなホテル。従業員はレセプションの人一人だけ、みたいな感じのところだ。ロンドンのB&Bでは、チェックインのときにバーがあるとも言われたが、ビールを売っていて、そこで座って飲むためのスツールがある程度。朝食と言ってもコーンフレーク、トースト、ジュース、コーヒーまたは紅茶というメニュー。ロンドンのB&Bは1泊55ポンドだったが、それでも朝食はそまつなもの。だから、正直言ってHaymarketのB&Bの37ポンドでは朝食はまったく期待していなかったので、近所でScotish Breakfastでも食べようと思っていた。
ところが、HaymarketにはそんなBreakfastを食べられるようなお店がない。仕方がないので、とりあえず、泊まったB&Bで朝食を食べてみることにした。まったく期待していなかったB&Bの朝食。しかし、HaymarketのB&Bの朝食は、かなり良かった。と言ってもロンドンのB&Bとの比較の問題だけれど、パンはトーストだけでなく、クロワッサンもあり、スコーンもあり、ハムやチーズもあって、デザートまであった。さすがにスコットランドは物価が安いということかも知れないが、宿泊料金が安い上に、朝食もまともだったので、かなり満足度が高いB&Bだった。
(左:エジンバラの街 右:Cutie Houseにはキティちゃんが・・・。)
B&Bをチェックアウトして、Haymarketからエジンバラのダウンタウンに向かって歩いた。幸い、雨は上がっていたので、あまり寒くなく、ちょうど良い朝の散歩となった。ロンドンに帰る前に一つだけ、やり残したことがあった。それは、スコットランドのHagisという料理を食べてみることだ。パブにあるのだろうと思っていたが、前の晩に行ったパブにはなかった。そこで、帰りの電車が出発する午後2時までに、昼食としてHagisを食べてみたいと思っていたのだった。
エジンバラのダウンタウンは、まだ眠っていた。パブなどは午前11時30分にならないと食事のメニューを注文できないというが、午前10時過ぎには、もうビールを飲んでいる客がたくさんいた。仕方ないので11時30分まで、お土産屋をぶらぶらして時間をつぶしたが、結局、何も買いたいと思うような物は発見できなかった。店の入り口にあるメニューでHagisがあることを確認して、駅からさほど遠くないパブに入った。スコットランドのビールを1パイントと、Hagisを注文した。ウェイトレスもウェイターも、とても親切で、オーダーのときもいろいろと教えてくれたし、Hagisを食べた感想も聞かれた。正直言って、それほど美味しいとは思わなかったが、カロリーは高そうだった。
その後、パブのウェイターに教えてもらったインターネットカフェに行ってメールチェックした後、ロンドン行きの電車に乗り込んだ。電車は約1時間遅れて、キングスクロスに到着した。たった1泊のエジンバラの旅だったけれど、短かった割には充実していた。
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日別アーカイブ: 2002年11月8日
Bed & Breakfast
Bed & Breakfast
ロンドンのホテルは高いようだ。ビジネスホテルくらいのグレードでも、1泊100ポンド(約2万円)以上だという。東京も地価は高いが、ビジネスホテルなら1万円以下のところはたくさんあるから、まだマシなのかも知れない。
そこで、ロンドンでの宿泊をどうするかということが、かなり大きな問題となる。英国にはBed & Breakfastと呼ばれる宿がある。その名のとおり、トイレとシャワーが付いた小さな部屋はベッドでいっぱいになってしまうようなところだけれど、夜、眠ることができて、朝食も食べられる。ホテルのようにルームサービスを注文したり、コンシャルジェにいろいろ仕事を頼んだりしながら滞在することはできないけれど、とっても経済的な宿泊と言える。
B&Bと言っても、名称にHotelという名を付けているところも多い。建物はアパートのようなつくりで、複数のB&Bが一つの大きな建物を構成しているような感じ。写真をよく見ていただくと、異なるホテルの看板が出ているのがわかる。入り口も別々だし、中もつながっていないようだ。
ロンドンではPaddington駅近くのB&Bに泊まった。この辺りは、B&Bがとても多く、外国人観光客も多かった。また、Paddingtonからはヒースロー空港へのエアポート・エクスプレスも出ているので、空港への交通の便がすごく良い。スコットランドに行くときに利用する鉄道のキングスクロス駅にも、Paddingtonから地下鉄で乗り換えなしで行けるので、観光に向いている地域かも知れない。ロンドンで泊まったB&Bは1泊55ポンド(1万1千円くらい)。朝食はかなり寂しいもので、トースト、コーンフレークとジュースにコーヒーのみ。2日めには飽きた。
こちらの写真は、エジンバラに行ったときに泊まったHaymarket駅近くのB&B。やはり、アパートが建ち並んでいるように見えるが、こちらもB&Bが並んでいる通りだ。スコットランドはロンドンよりも物価が安いようで、ここは1泊37.5ポンドだった。しかも、朝食にはチーズやハムもあるし、デザートもあった。豪華な朝食に、満足度も高かった。
パッケージツアーで行く場合には、ホテルはすでに手配されているだろうが、個人で手配する旅行の場合には、このようなB&Bに泊まる方が経済的かも知れない。
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ここはどこ? (ロンドン)
英国の街を歩いていると建物に"SCOTLAND PLACE SW1"などと書かれたプレートが建物に掲示されているのをよく見かけるが、これはその建物がある居住地域を示すもので、SW1などは郵便番号の一部にも使われている町の中での区画を表している。これらの区域までが書き込まれている地図を持って歩いていれば、建物に書かれている表示をみると自分の現在位置を知ることができて、とっても便利。あまり、迷うこともなくなる。ただし、地図が読めない人は、やっぱり迷うかも知れないので、初めて行く建物などは、事前に地図の上でチェックして、周囲の目印になる建物などとの位置関係も覚えておこう。
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