昔、大学時代からのタイの友人が、「タイ人は見栄っ張りが多い」と教えてくれたことがあります。
もちろん個人差があるんですが、でも、タイ人たちと付き合った経験をとおして感じることは、やはり、国民性として見栄っ張りで、プライドが高いという印象があります。そのことは、別に良いこととか悪いこととかいうことではありません。でも、それを念頭においてタイ人と付き合えば、それまで理解できなかったことタイ人の行動が、納得できるようになったりすると思います。
見栄っ張りなタイ人(?)にとって車に次いで重要なアイテムが携帯電話です。タイ語では「ムートゥー」と呼ばれています。実は、携帯電話は開発途上国にとっては、固定電話よりも手軽で普及しやすい通信手段です。タイも例外ではなくて、地方に住んでいる人が固定電話の設置工事を申し込んでも、何ヵ月も待たされるということがよくあるようですが、携帯電話なら、買ってくればすぐに使えるようになるという手軽さがあります。
そのような状況を考えれば、携帯電話を持っていることは、決して、見栄っ張りじゃないんです。携帯電話の端末も安いものなら新品でも4,000バーツ、中古品だったら、もっと安く手に入るし、プリペイド式のSIMカードを50~100バーツくらいで購入すれば、あとは通話する分だけ、リフィルカード(通話料の前払い)を買えば良いだけです。
携帯電話に関して、僕がタイ人は見栄っ張りだなぁと思うのは、1か月の家賃が3,000バーツ、4,000バーツという暮らしをしているのにもかかわらず、頻繁に最新の携帯電話端末に買い替えたりしていることです。以前、携帯電話を買うならMBKという話を書きましたが、このMBKに行くと、たくさんの若者、学生たちが、携帯電話を物色して歩いています。そして、ごく日常の風景として、彼らは数万バーツの値段の新型携帯電話を買って行ったりしています。
ちなみに、大卒の初任給が8,000バーツとも言われているのですから、給料の3か月分、4か月分を携帯電話の端末代として学生が使ってしまうのは、日本ではあまり考えられないことだと思います。でも、彼らにとっては、携帯電話の最新モデルを持っていることはクールなんです。
車でも新車を持って乗り回していることがカッコイイと考えているし、少し、お金に余裕がある人たちは、やはり車はベンツだと思っているわけです。常に他人の目を意識して、カッコイイものを身に着けていたいと思う気持ちが強いようです。
タイ人が見栄を張るためにお金を使ったりしているのを見ると、無駄だなぁと思うことがありますが、でも、彼らの視点で考えると、タイ人にとして大切にしている価値観というものがあるんだと思います。ただ、多くの場合、その価値観と支出する金額のバランスが取れないところが、タイ人の子どもっぽいところであり、タイ人といっしょに遊んでいる日本人にとっては、トバッチリを受けるポイントでもあります。
日本人である我々は、なるべく彼らのプライドを傷つけないように注意しながら、このトバッチリを受けないようにタイ人と付き合っていくことが大切だと思います。