先月、上海に行ってタクシーに乗りましたが、バンコクに比べて、上海のタクシーがきちんとしていたので驚きました。一緒に行った友人が最初に乗ったタクシーは端数のおつりをくれなかったようですが、その後の3泊4日間に乗ったタクシーは、皆、きっちりとおつりもくれましたし、頼んだところに、まっすぐ向かってくれました。
こんなこと当たり前なんですが、バンコクのタクシーは、なにかとトラブルが多いので、特に初めてタイに行かれる方には注意していただきたいと思います。バンコクでのタクシーは料金が安いので、外国人である我々にとっては便利な乗り物です。
注意して乗ればトラブルに遭う確率を下げることができると思いますので、皆さんにバンコクのタクシーについて知っていただきたいと思います。
さて、これまで3回ほど、バンコクのタクシーについて書いたことがあるんで、すべてを読んでいただければ、ほとんど情報が書かれていますが、ここでポイントをまとめておきたいと思います。
■タクシーの色
バンコクの街を走っているタクシーの車体は、いろいろな色で塗られています。それが意味しているものは何でしょうか?
①緑・黄の2トーン 個人営業
②赤・青の2トーン 会社営業
③その他の色 会社営業
日本では個人タクシーが安全というイメージがありますが、バンコクの場合、そうとは言えません。日本のように個人タクシーを開業するのが大変なシステムではなく、タクシーの車輌も、1日いくらという形態で、簡単に借りて来られるのです。そのため、車のまた貸しなども多く、決して安心はできません。特に、ボロボロの緑・黄の車体の場合、また貸しの可能性があります。だからと言って、100%悪い人だとは言えないですが、他に選択肢があるなら避けたほうが良いと思います。
それでは②の会社営業が良いかというと、これも微妙です。親切で良い運転手の場合もあるし、そうでない人もいます。また、中古タクシー車輌も売買されていますから、必ずしも会社経営ではなく個人が勝手にタクシー商売をしている可能性もあります。
近年、①や②以外に、③のタイプの会社営業の色々な色のタクシーが走るようになりました。あくまでも僕の印象ですが、この③のタイプのタクシーは比較的車も新しく、GPSや無線配車システムを搭載しているものもあったりして、なんとなく信頼できそうなイメージがあります。
①、②、③いずれの場合も、車が新しくてきれいな場合には、まじめに商売している感じがします。ボロボロなタクシーだと、いろいろな意味でハズレが多いので注意が必要です。しかし、トゥクトゥクに乗るよりはタクシーのほうが冷房もあり、メーターもある分、気分よく移動できるかも知れません。
■タクシーのとめ方
街で流しているタクシーをとめる場合には、腕を斜め下に出します。日本でタクシーをとめるときのように腕を上に上げても、たぶん止まってくれるでしょうが、タイの人たちは、そんなに派手に手を振ったりはしていません。すっと、体側から腕を斜めに出してタクシードライバーに合図すると止まってくれます。運転手に見えないようであれば、もう少し腕を挙げて、手を動かしてみたりします。
止まったら、いきなり乗り込まずに、助手席または後部座席のドアを開けて、行き先を告げます。運転手は一瞬、なにやら考えて、うなづくか、首を横に振ります。うなづいたら乗りましょう。首を横に振られたら、乗車拒否なので、あきらめて別の車をつかまえましょう。
■タクシー料金
まず料金ですが、日本に比べてかなり安いです。
下の写真が料金表で、タクシーの中に掲示されていることがあります。
(この料金表は2006年5月に撮影したものです。これを読んでいただいている現在の料金とは異なることもありますのでご注意ください。)
現在、バンコク市内を走っているタクシーにはメーターが設置されています。
ちょっと怪しげなタクシー運転手は「メーターが壊れている」と言って、高い料金をふっかけてきたりしますが、基本的にはメーターで料金が決まります。
バンコクでは初乗りが35バーツ。(1バーツ=4円とすると140円)
0 – 2km 35バーツ (初乗り料金)
以降、加算される料金
2 – 12km 4.5バーツ/km
12 – 20km 5バーツ/km
20 – 5.5バーツ/km
時速6km/h以下での走行時(渋滞時)、1.25バーツ/分
※空港から乗車 +50バーツ
※電話による配車 +20バーツ
空港からバンコク中心部のホテルに行く場合、たぶん走行料金が200バーツくらいですが、空港出発料金が50バーツ、有料道路の料金などを加算することになるので、300バーツくらいだと思います。もちろん、ホテルの場所や渋滞の状況などによって違うでしょうが、ふつう、500バーツになることはありません。逆に言うと、帰国する際に中心部から空港にタクシーで行く際に、メーターを使わずに500バーツと言ってきたら、プチ・ボッタクリであると認識してください。(後述するように、プチボッタクリとわかった上で乗るという選択肢もあると思います。臨機応変に判断してタクシーを上手く利用しましょう。)
■タクシー番号
タクシーに乗ったら、ドアに書いてあるタクシー番号をメモしておくと良いかも知れません。忘れ物をしたとか、何かトラブルがあったとき、このタクシー番号を控えておけば、後で警察で調べてもらうことができます。以前はタイ文字と数字の組み合わせだけで書いてあったので、外国人には不便だと不評でしたが、日本人女性が襲われた事件も含めて、タクシーに関わるいろいろな事件が発生したため、現在は、タイ文字だけでなくアルファベットも併記されています。
旅行中はメモ帳を持ち歩いて、タクシーに乗ったら、このアルファベットと数字をメモしておくと後で役立つかもしれません。(ホテルから乗るときは、ドアマンがメモした紙を渡してくれることがあります。すぐに捨てると忘れ物したときに後悔するかも知れません。)
■GPS追跡サービス
僕は試したことがないのですが、以前、バンコクの日本人向けフリーペーパーでGPS付タクシーのサービスについて記事がありました。それによると、GPS搭載のタクシーは、タクシーのコールセンターが位置をモニターすることができるんだそうです。そこで、女性が一人でタクシーに乗る場合には、コールセンター(1681)に電話してGPS付のタクシーを配車してもらい、その際に、目的地に着くまでモニターするように依頼すると良いということでした。
確かに、そういう依頼が入っていると聞けば、タクシー運転手も変なことはできないでしょうね。
■乗ってはいけないタクシー
ホテルや観光地の周辺で、路上駐車したりしながら、だら~っとして客待ちをしているタクシーは、やめましょう。ホテルのドアマンが呼んでくれるタクシーはOKですが、ちょっと離れたところで客引きしているタクシー運転手は問題ありです。こういう人たちは声をかけてくることが多いですが、相手にしてはいけません。行き先を告げると、「200バーツ」とか「300バーツ」とか言うタクシーは、プチぼったくりタクシー。行き先を告げると、「OK」とか言って、わざとメーターを倒さずに走り出す運転手もいますが、これは降りるときに、プチボッタクリをする予定です。(単に忘れていることもあり得ますが。)
メーターを倒さずに走り出していたら「ミーター、プリーズ」と言ってみましょう。素直にメーターを使わず、「200」とか「300」とか、数字の交渉をしてきたら、「ノー」とはっきり言って降りたほうが賢明です。
ただし、雨のときなど、あまりタクシーの空車がないような場合には、状況によっては値段交渉に入るしかないかも知れません。面白いのは、彼らはたいがいプチボッタクリなのです。屋台での値引き交渉と同じなので、降りて別の空車を探す時間をかけるよりは「100バーツにしろ」とか言いながら交渉するのも一つの方法だと思います。
なお、タクシー運転手に限らず、ちょっと頭にきても、タイ人に対してはあまり怒った口調で言わないほうが良いです。タイ人はプライドが高いため、自分が悪くても、何かを責められることが嫌いです。相手から譲歩を引き出すためには、あまりカッカせずに、諭すように交渉すると良いと思います。
■タクシー運転手は渋滞嫌い
誰でも渋滞は嫌いです。でも、どうしても行きたい方向が渋滞していることがあります。タクシーは渋滞でもメーターが上がるわけですから、商売としてはマイナスではないハズなのですが、バンコクのタクシー運転手は渋滞が嫌いです。
渋滞している方向の行き先を告げると、乗車拒否されることもしばしばです。これは言い合っても仕方ないことなので、別の車を探すしかありませんが、とにかく、面白いほど渋滞が嫌いらしいです。
そして、どうやら、バンコクのタクシー運転手は、走り屋が運転手になっていることが多いようで、逆に空いている道路では、怖いほど飛ばすことがあります。
■英語は通じない
ところで・・・、ほとんどのタクシーの運転手は英語ができません。
ときどき、”We Love Farang”と書いたステッカーを貼っているタクシーがあります。Farangとは、外国人(白人)のことで、これを貼っているタクシーは、少しは英語ができる可能性があります。が、あまり期待してはいけません。
ホテルから乗る場合には、ドアマンに行き先を英語で言って、運転手にタイ語で指示してもらうとスムースです。
注意しておきたいのは、タイ語に入っている英語の単語は、独特の変化をともなって発音されているということです。考えてみれば、日本語だって、英語をカタカナにしてカタカナ発音しているので、外人には分からない発音になってしまったりするわけですが、同じことがタイ語でも起きているのです。例えば、セントラル・ワールド・プラザのCentralという言葉は、タイ人(バンコク方言)はセンターンと発音します。
タクシーの運転手とのコミュニケーションは、たいへんだと思いますが、性格が良い運転手もいるので、そういうタイ人とのコミュニケーションを楽しめれば、旅の思い出にもなるのではないでしょうか。
■タクシーのチップ
いろいろな考え方があると思いますが、僕はたくさんチップをあげる必要はないと思っています。
例えば、メーターに出ている料金が41バーツだったら、45バーツあげれば良いし、57バーツだったら60バーツをあげれば良いと思っています。タイ人の若い人などは、たとえば、51バーツのときに「50バーツでいい?」って言って、1バーツまけてもらうこともあるくらいです。
僕も同じように端数が1バーツのとき、たまたま小銭が1バーツしかなく、ちょうどであげようとしたら、1バーツ返してもらったこともあります。ただ、運転手の中には外国人からはたくさんチップがもらえることを期待している運転手もいて、やはり同様に、他に小銭がなく、料金ちょうどになるように1バーツも付けて渡したら、1バーツ硬貨は嫌いだと文句を言い、その挙げ句に1バーツ硬貨を投げ返してきた運転手もいました。
チップは、受け取る方も、あげる方も、人それぞれの考え方なので、一概には言えませんが、僕の場合には、メーターの料金が100バーツ以下の場合には5バーツ刻みでメーターの料金に数バーツを足した金額を渡し、メーターの料金が100バーツ以上の場合には10バーツ刻みで、同様にチップも含めた金額を渡すようにしています。
■急ぐならBTS&地下鉄
タクシーの話をしてきたわけですが・・・急ぐならBTSや地下鉄を使ったほうが良い場合もあります。
もしも目的地がBTSスカイトレインや地下鉄の駅の近くの場合、スカイトレインや地下鉄を使った方が早く目的地に着くことが多いです。特に、朝と午後3時~8時くらいのバンコク中心部は、渋滞がひどくなります。急いで行くつもりでタクシーを使うと、とんでもなく長い時間をタクシーの中で過ごすことになりかねません。もしも、出発地から目的地に行く場合に、バンコクの中心部を通るなら、中心部を通る部分はBTSや地下鉄を使ったほうが早く目的地に着くと思います。(交通費は高くなりますが。)
バンコクに旅行するとき、あるいは住むときには、賢く安全にタクシーを利用してください。