タイでは、その後、新たな爆発はないようですが、市民の間では爆弾が仕掛けられたとか、予告電話があったとか、いろいろな噂が流れていて、混乱しているようです。群衆心理でデマや噂が広がるということも多いのですが、反抗グループも意図的にそのようなデマを流して混乱を狙っている可能性もありますから、噂に惑わされて混乱しないように、冷静な行動が望ましいと思います。
さて、今回の連続爆破事件について、現政府は「権力を失った者とその支持者たち」の犯行と発言したわけですが、その後、中国にいるタクシン前首相は、自分は関係しておらず、南部独立運動グループの犯行だという確かな筋の情報を持っている、と発表しました。そして、これに対して、南部独立運動グループPuloのKasturi Mahkota氏はこれを全面的に否定しました。
タクシン元首相は自分への疑いを否定するのは良いですが、矛先を南部独立運動グループに向けるというのは、どうなんでしょう。南部独立運動グループは南部5県を独立させたいと主張しているわけですが、その主張のために南部5県での政府側との衝突はこれまでもあったものの、バンコクに爆弾を仕掛けても、あまり意味がないような気がします。
今回の事件は国内の政治的混乱をまねくことが目的だったのでしょうが、今年、タイでは選挙が行われることを考えると、現政府の不安定さを演出してメリットがあるのは、やはりタクシン元首相の支援者グループと見るのが自然かも知れません。そして、もしかしたら・・・と思うことは、南部独立運動グループとタクシン元首相の支援グループが共謀したのでは・・・ちょっと深読みしすぎかも知れませんが、タクシン元首相は政治家というよりはビジネスマンです。今後の彼の行動にも注目したいところです。