2006年12月26日に台湾付近で発生した地震の影響で、日本とアジア諸国のインターネット接続に障害が発生しました。なんでも、海底ケーブルが破損したとか。海底ケーブルの破損箇所を特定して、その部分を取り替えるという作業は、とても大変そうですね。
ところで、この地震の直後、タイに住んでいる方々の多くが日本のWebサイトにアクセスしようと思ってページが表示されなかったり、あるいは逆に日本にいる方がタイにアクセスしようしてもできなかったり・・・という不具合が発生していました。
地震の翌日、僕はタイの証券会社のSeamico.comにアクセスしたのですが、これは問題なくつながったので、そんなインターネットの混乱を意識していませんでした。ニュースでは、中国株取引を行っているネット証券が、この障害の影響を受けているような話をしていましたが、僕は気にしていませんでした。しかし、夜になって、タイの大学生とWindows Live Messengerでチャットしているときに、タイの某サイトのURLを送られて、そのページを開こうとしたところ、まったく開きませんでした。
それで、どうも接続のルートが違うと感じたので、VisualRouteというツールを使って、どのような経路で接続されているかを見てみました。
上の図は、僕の家からsanook.comまでの接続の図ですが途中22のIPアドレスを経由して到達しています。そして、見にくいかも知れませんが、地図をみると日本から直接タイに赤い線が伸びています。日本から出て、台湾近くを通り、香港、シンガポールに接続するという経路になっています。そして、タイ国内ではKSCというプロバイダにつながっています。つまり、sanook.comはKSCのネットワーク内に設置されているのだと思います。そして、地震直後、このルートがボロボロになっていました。上記の図は、今日現在の状況を表しているものですが、地震の翌日の状況では、途中経路が遮断されていました。
ところが、Seamico.comへのルートはSanook.comとは違っていました。下の図を見てください。Sanook.comが22のIPアドレスを経由していたのに対して、Seamico.comは33経由して到達しています。そして、到達した先のプロバイダはCSLoxinfoでした。この経路をよく見てみると、日本からまずアメリカに接続されています。そして、アメリカ国内を次々とリレーされて西海岸から東海岸に接続され、そこからタイに接続されています。つまり、こちらのほうが長い距離をかけて接続しているので、おそらく通常は遅いルートと言えると思うのですが、香港を経由した接続でないために、地震後もいつもと同じように接続ができたわけです。
しかし、接続ルートが違う理由は必ずしもプロバイダの違いではないようです。CSLoxinfoの会社としてのサイトへのルートを見ると、やはりアジアルートで接続しています。どうやら同じプロバイダのネットワーク下にあっても、サイトによって接続経路が違っているようです。ちなみに、True InternetやInetなどのプロバイダもアジアルートを基本にしているようです。
いずれにしても、インターネットが私たちの生活に随分と浸透していたことを教えてくれた事件でした。