海外で作るということ

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昨日、100円ショップ『ダイソー』で、布ガムテープと油性ペンを買いました。見ると、どちらも、海外製。テープはインドネシア、油性ペンはマレーシアです。日本企業の多くが海外に工場を作って、そこで生産したものを日本に持ってくるという生産方式をとっています。
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特に、近年は中国に工場を設立したり、あるいは中国の工場に製造させて日本にもってくることで、価格競争力をつけようとしている企業がとても多いと思います。でも、本当にこれで良いのでしょうか
初めにことわっておきますが、僕は中国の人たちは嫌いではありません。中学生の頃、中国語に興味を持って、北京放送の日本語番組を聴いて、投書したら、切り絵を送ってくれたりした思い出があり、中国の人たちに対して個人的には悪い記憶はありません。
しかし、いま、日本の企業が中国に工場を作ったり、あるいは中国会社に製造をさせていることは、中国に日本の技術を移転しているという事実について、あまりにも日本企業が無頓着なような気がして、心配に思います。中国の人たちは、商売が上手いのです。今は、日本企業を持ち上げて、いろいろ仕事を受注してくれていますが、やがて日系企業で働いている人たちは中国企業の工場に移っていくでしょうし、日本企業の委託で製造していた企業はオリジナルでモノを作るようになるでしょう。そうなったとき、日本企業の競争力は劇的に下がることは間違いありません。
人件費の安い国で製造して輸入すれば良いというアメリカ的考え方は、とても危険だと思います。モノ作りの現場が海外に移ってしまったことで、日本の子どもたちにとって、技術や科学と言ったものへの興味も薄れてきている気がします。海外で安くつくって持ってくれば儲かるという安易なビジネスが、日本をダメにしてきました。
さきほど、アメリカ的考え方と言いましたが、実は、アメリカではMade In USAにこだわったビジネスで成功している例があります。American Apparelという会社は、シンプルで多色のカジュアルウェアの製造販売をしている会社です。日本のユニクロに近い商品ラインアップですが、決定的に違うことは、American Apparelはすべて自社で製造して販売しているというところです。それどころか、ショップ以外は、製造も管理もデザインもすべて本社に置くことで、輸送経費も節約しているし、何よりも情報伝達の速度が格段に早く、新しいデザインの商品を作るにも、とても早く製造してショップに並べることができる体制を持っています。
かつて日本は”Made In Japan”と書かれた商品を世界中に輸出することで経済発展をしてきました。日本で作られたものの質の高さを世界中の人々が認めたのです。ところが、日本の人件費が高くなってしまったことで、日本国内で作るよりも海外に生産拠点を移してしまったほうが良いという考えが製造業の経営者の間に広まりました。安く作って日本に持ってきたほうが、日本で作るほうが安い・・・。
短期的に見れば、そういう方法は経営者にとって魅力的でしょう。でも、長期的に見ると、それは日本というブランド力を下げることになってしまう恐れがあります。中国が日本からの技術移転を受けて、自力で高品質なものを作れるようになったら、彼らにとって日本企業は不要になります。中国政府にとって、海外企業を中国市場から締め出すことなど、簡単なことなのです。そう言われてしまうと、海外企業は中国政府の言いなりにならざるおえず、中国の製造業のレベルアップに協力せざるを得ないでしょう。

繰り返しますが、僕は中国には良い印象を持っています。それでも、日本の将来を考えるとき、中国のしたたかな戦略を警戒せずにはいられません。
またMade In Japanの時代が来ることを祈っていますが・・・もしも、それができないと・・・。
そんなことを考えると、日本の将来が不安になります。

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