タイの国歌


今朝の通勤風景。バンコク中心部にはBTSスカイトレインと呼ばれる高架鉄道が走っている。路線は2つしかなく、これだけでは行けるところも限られるけど、渋滞がひどいバンコクでは救世主とも言える存在。つい最近までは、BTSが唯一、渋滞に関係ない交通機関だったが、今年7月に地下鉄が開業したので、このBTSと地下鉄(MRTと呼んでいます)を組み合わせて使うと、行動範囲がかなり広がる。
僕は毎朝BTSで通勤しているのだが、これはエカマイの駅でホームから下の改札口があるフロアに降りる階段の様子。「べつに何でもない写真じゃん」と思っているかも知れないが、みんなの足元をよ~く見ると両足を揃えていることに気がつくはず。そう。その場で立ち止まっている。階段を降りる途中でなぜ立ち止まるのか。

いや、立ち止まるのは、階段だけじゃない。どこにいても、その場で立ち止まる。実は、タイでは午前8時と午後6時に街中で国歌が流れる。そして、この国歌演奏中は、その場に立ち止まっているのだ。
これは音楽が聞こえたら止まる、という原則なので、聞こえていない人は、スタスタ歩いてきたりするが、聞こえる範囲に来るとピタっと止まる。自動車は止まるということはなく、ふつうに運転される。このルールは主に歩行者に適用されているが、たとえば、屋台で座って物を売っている人は、その場で立ち上がる。
そう言えば、先週のある朝、このようにタイ人が立ち止まって国家を聞いているところを縫うようにして歩いて行った日本人らしき男性を目撃した。卒業式での「君が代」や「日の丸」を否定する教員がいる国から来た彼には、よその国の国歌など、まったく無意味なものかも知れないが、自分は外国人でタイ人の国に滞在しているという立場を考えるとき、タイ人の習慣や価値観(あるいはルール)を無視するような行動は慎むべきだと思う。
ちなみに、タイで映画館に入ると、映画の本編が始まる前に、王様の映像が流れ、その映像が終わるまで全員起立している。これは、王様に敬意を払うため。僕はタイにいるときには、タイ人たちに敬意を払うために、彼らといっしょに立ち止まったり、立ち上がったりしている。
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