ロンドン旅行写真

ロンドン旅行写真
2002年9月28日~10月7日
この歳になるまで(あえて年齢は言わないが)英国には行ったことがなかった。これまであまり興味もなかったから、わざわざ行こうとも思わなかったのだが、行かなくてはならないような用事もなかったのだ。しかし、そんな僕も、2002年9月、ある事情があって、ロンドンに行くこととなった。これまであまり興味はなかったけれど、行くと決まってからは、なんか、ちょっとワクワクしてきた。やはり、行ったことがない国に行く、見たことがない文化と直接触れることは、僕にとって最高の楽しみなのだ。ハリー・ポッターの世界を覗いてこようという気持ちになった。
ところで、日本では一般にイギリスと呼んでいるが、よく考えてみるとイギリスという呼び名はイングランドを指しているような気がする。英語では、United Kingdomと言うが、これに相当する日本語は『英国』ということになるだろう。このあたりの事情は、かなり深いような気がするが、僕のサイトで掘り下げることもないだろう。そこで、当サイトでは、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズの総称として英国と呼んでおくことにする。そして、今回、僕が滞在したのはスコットランド、エジンバラへの一泊旅行を除いて、ほとんどロンドンということになる。
 
ロンドンと言えば、赤い2階だてバスが頭に浮かぶ。そして、実際にロンドンの街を歩いてみると、イメージ通りのバスがたくさん走っていた。はじめのうちは、「おぉ、これがロンドンのバス!」と思って喜んでカメラをかまえたりしていたが、すぐにそれが当たり前のものに見えてきた。ロンドンでは2階だてバスは特別なものではないのだ。そして、2階だてのバスは僕の中でも特別のものではなくなってしまった。なんだか、一つ、夢が消えてしまったような気がする。
僕たちは日本にいても世界中の国々の映像をテレビで見ることができる。日本では、とっても海外取材番組が多く、異文化や週間の違いをクイズにしている番組もあるから、海外事情については耳年増になっている。だから、ロンドンと言えば、2階だてバス、テムズ川、ロンドン橋、ロンドン塔、セントポール寺院、ハイドパーク、バッキンガム宮殿・・・ガイドブックに載っているような観光ポイントは気づかぬうちに知っている。
 
(マストが高い船が通過するために、ロンドン橋が上がった。見ることができてラッキー!)
 
(ロンドン塔・・・うーん・・・)

(セントポール寺院・・・メリーポピンズを思い出した。)
しかし、せっかくロンドンに来たのだ。旅行ガイドブックに載っている有名な観光スポットはおさえておかなくてはいけないという気分になってくる。ロンドンの中心地は、それほど広いエリアではないので、地下鉄と徒歩で、次々と観光スポットの巡礼をしてみた。するとテレビで見たような景色が目の前に現れて、「あ~、なるほど~」という気分になる。でも、そこにそれがあることは知っていたので、驚きがないし、あまり感動もない。
 

(バンキンガム宮殿・・・日曜日午前11:30から近衛兵の交替があるとあって観光客が集まっている)
ところが、ロンドンの街を実際に歩いてみて、ガイドブックに書かれていないことで驚くことがあった。まず、ロンドンの中心街に行って感心したのが、街がきれいなことだ。きれいと言っても、町並みのことではない。いや、町並みもきれいなのだが、それよりも道路、歩道にゴミが落ちていないのだ。そして、街歩きをしながら観察していると、これには明確な理由があった。掃除をしているのだ。しかも、たくさんの掃除専門の人たちが、町中で、朝から晩まで働いている。表通りはもちろん、裏道に落ちているゴミをきれいに取って歩いたり、ところどころに設置されてあるゴミ箱のゴミを収集して片づけたりしている人をたくさん見かけるのだ。ロンドンに着いたばかりのときは、たまたま掃除作業の時間に居合わせたのかと思ったのだけれど、中心街に行くたびに、彼らを見かけた。僕の短い滞在期間中、ロンドンの中心から離れたところでは、彼らを見ていないがゴミは落ちていない。テムズ川畔の遊歩道も、きれいに保たれていた。
 
町並みのことが後回しになったが、町並みも美しい。ロンドンには古くからある建物がたくさん残されていて、街に歴史があることを感じさせてくれている。でも、よく見ると、石や煉瓦作りの建物が建ち並ぶ中に新しい建物も混じっている。それら、コンクリートで出来た新しい建物も、上手く古い建物と調和して、美しい町並みを作るように設計されている。ロンドンは、まるでディズニーランドにいるかのように、歴史の中に迷い込んだような雰囲気を持った美しい街だった。
 
ロンドンの街を歩いて驚いたことは他にもいくつかあるが、中でも気になったのが、歩きながらタバコを吸っている人が多いということだ。しかも、女性が歩行喫煙している姿を頻繁に見かけた。僕はタバコは吸わないし、日本では前を歩く人の歩行喫煙で迷惑を被ることが多いので、歩行喫煙に対しては厳しい見方をするのだが、ロンドンで見かけた歩行喫煙の女性はカッコ良いと思った。かなり年輩の女性も、若い女性も、タバコを吸いながら歩いている姿が、かなりカッコ良かったことは認める・・・けれど、やっぱり僕の前を歩くときは吸わないで欲しいと思う。幸い、ロンドンの歩道は比較的幅が広いため、直接、煙を吸い込む位置関係になることはなかったけれど。

歩行者が信号を守らないことにも驚いた。歩行者の信号無視は当たり前なのだ。かなりの速度で車が来るような道路であっても、少しでも車が途切れたら横断してしまおうとする人がほとんど。驚いたと言いながら、僕も、郷にいればなんとかで、交通の隙間を縫って道路を渡ることを覚えてしまった。信号がある交差点の横断歩道の路面には、はっきり、くっきりと『Look Right』とか『Look Left』とか書かれている。これは自動車の信号が赤になって車が止まってから横断する人には、ほとんど意味のないメッセージだと思う。信号があっても、ないものと同じように扱われることを前提として、車が来るのはこの方向だから、右を見てから渡りなさい、左を見てから渡りなさい、と書いているのだ。急に横断歩道を渡りだす人に、ぼーっとついて行きそうになるかも知れないが、これは命取りになりかねない。彼らは、ほんの小さな隙間で渡ろうとしているのだから、一歩でも後から渡る人が無事に渡れるかどうかは分からないのだ。ロンドンで道路を信号無視しながら横断するときは、良く安全を確認してからにしよう!?(そもそも、信号無視しなければ良いということかも。)
他にも、驚いたことはたくさんある。たとえば、パブが本当にたくさんあったことも驚きだし、仕事帰りの英国人が本当にビールを飲みに来ていることにも驚いた。それに、彼らはあまりおつまみのような食べ物を注文せずに、ビールだけを飲んで友人と談笑していること、そして、あまり長居せずに本当にビールを1杯だけ飲んで帰って行く人もいた。日本で仕事帰りに飲み屋に行ったら、いろいろと飲食してしまうことがふつうだが、どうやら英国では仕事帰りに仲間と一杯だけ飲んで帰るというのもアリのようだった。

テムズ川に沿って作られた遊歩道にも感心した。この遊歩道は、言うまでもなく旅行者にとっては、川に沿って歩いてみたり、途中の橋を渡ったりできるため、とても面白い観光コースになるが、地元の人たちにとっても、散歩やジョギング、そして通勤路としても機能している。川とその背景となる町並みを見ながら、観光する、散歩する、通勤する・・・この遊歩道によってテムズ川が活きていると思った。どこかの国の川沿いの公園にはホームレスのダンボールの家が乱立しているのを思い出してしまった。ダンボールの家の主たちにも事情があるのだろうが、なんとか解決して、川を都会のオアシスとして活かして欲しいと思わずにはいられなかった。
あれこれ、ロンドンについて驚いたことを書いてみたが、ロンドンについて抱いた感想は、決して良いことばかりではない。不便であきれることもあった。たとえば、日曜日には多くのお店が休みということだ。デパートですら休むのだ。日曜日は安息日だから休むのかも知れないけれど、一般消費者を相手にする商売が日曜日に休んでどうするのか・・・僕の理解を越えたロジックが存在するのかも知れないが、とにかく滞在期間が限られた僕にはとても不便に感じられた。また、コンビニがないのも、とても不便。たまに24時間スーパーがあるが、中心街にはそういうスーパーはあまりないため、夜になると本当に不便。必要なものは昼間のうちに、あるいはお店をみつけたら確実にゲットしておかないと、後で探そうとすると苦労することになる。
 
そして、一番困ったことは、物価が高いことだ。今回の旅行の頃の外国為替レートでは、1ポンド=195~200円。ヒースロー空港で3万円をポンドに両替した時には、これに両替の手数料などが加わり、なんと1ポンド211円くらいになってしまった。それがどうした?と思われるかも知れない。これが問題だという理由は、実際の使い勝手から考えると1ポンド=100円くらいの感覚でお金が出ていくのだ。中華レストランで一番安いチャーハンを頼んでも6ポンド。ハンバーガーを食べても5ポンド。日本で1200円くらいで売られているコダックフィルムの3本パックをロンドンで買うと13ポンド・・・。1ポンド=100円なら納得できるし、ロンドンでお金をつかっているうちに、だんだん、1ポンド=100円のような錯覚に陥って、6ポンドのチャーハンなんて安いと思ってしまう。けれど、これを日本円に換算すると1200円のチャーハンだったりするのだ。
ロンドンでもスーパーで野菜を買うと安いなどと言われているが、よく考えてみると、それは日本では野菜が異常に高いから、ロンドンの野菜が安いと思えるだけのことだろう。日本でも輸入野菜や輸入肉が安いことを考えれば、日本の食料品の価格が他の国よりも高いことはわかる。でも、ロンドンではその安い食材を使っていながら、それが調理されると恐ろしいほどに高くなってしまうのは、どうしてなのだろうか・・・。いや、その理由が分かろうが分かるまいが、とにかくロンドンでは物価を日本円に換算していると何も買えない、何も食べられないという状況に陥ってしまうので、日本円は忘れて(?)お金を使う覚悟が必要だ。

ロンドンに行ってみて、テレビ番組やガイドブックでないロンドンを見ることができた。想像の世界ではなくなったロンドンは、僕の中ではリアルな街としての存在へと変化した。今回のロンドン旅行のおかげで、実際に行ってみなければわからないことがたくさんあるということを再認識することができた。

(ロンドン塔に住むカラス)
Copyright &#169 2002 by Nobosama


※この記事はWebSite”MaiPenRai”からの転載です。そのため表示されている日付は正確ではありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です